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しゆたろの日常

しゆたろの日常についてきままにつぶやきます。創作もします。

第二話 蘇る

小説 黄泉がえる世界

そして、今くるみは、ツインテールを揺らしながら食事をのせたお盆を持ち、足元に注意しながら階段を下りている。

くるみが、待ちに待った人が今日蘇るのである。その人は、この「黄泉がえり」の組織の建物の地下に眠っているのだ。
でも、心配事があり、最初うきうきした気持ちで階段を下りていたが、だんだん足取りが悪くなっていった。
最後の段差を下り、ドアの前に着くと深呼吸をした。
(シンさんが、状態を読み間違えることなんてないけど、やっぱり嘘であってほしい・・・)
お盆をドアにぶつからないように床に置いて、ゆっくりとドアを開けた。
くるみの瞳に映ったものは、やはり、まだ寝ているあの人だった。
「まだ、生き返ってなかったんだ・・・」
ドアの下にストッパーを置いて、開いたままの状態にした。そして、床に置いといたお盆を持ち、その人の前に置いた。くるみは、この人が死んで(眠って)からずっと、この作業を2年間繰り返していた。
でも、それも今日で終わり・・・。
くるみは、はぁ。とため息をついた。長いようで、短かったなと感じ、安堵からのため息であった。
そして、くるみは自分も食事をするために、2日の食堂へいこうと、お盆を置くためにかがんでいた自分の体を起こし、その部屋を出ようとする瞬間だった。

―おい・・・
最初は空みみかと思っていたが、違った。
振り返ると、まっすぐな瞳がこちらへ向いていた。
「あ・・・」
安心という気持ちが、体をめぐり心があったかくなっていくのを感じた。
でも、それはつかのま、次の言葉が天国から地獄に突き落としていった・・・。
「お前は誰だ・・・?」
くるみは、泣きもせず、悲しい気持ちを顔に出さず冷静だった。
そう、知っていたのだ。くるみの心配事とはこれだった。
(やっぱり当ってしまった。シンさんの読みは・・・)
くるみが、待っていた人は以前とは違っていた・・・そう。
―記憶喪失だったのだ。