しゆたろの日常

しゆたろの日常についてきままにつぶやきます。創作もします。

第十九話

「ごっめーん!お弁当作ってたら遅くなっちゃった!」
みどりがお弁当を両手にもって、走ってきていた。
息を切らしているのか、ぜーはーしている。
「あー、もう食べ終わっちゃったぁ?!」
「ああ。とっくにな。寝坊だろう、どうせ」
「ううーそうなんだよー。起きれなくてー。今日は満月だからみんな働くからなんかしなきゃって思って、お弁当作ろうとしたんだけど。寝坊した!」
「でも、仕事は夜っすから、夕飯に食べれますよ!」
その言葉を聞いた、みどりはぱあっと顔を明るくして
「そうねっ!ありがとう!卓斗くんっ!」
と満面の笑みで言った。こっちも笑顔になれる笑顔だった。
この人は、あの事件以来ここによく来る。とても信頼してくれてるのがわかる。この黄泉がえりという
組織の人たちはすごい。俺も初めて会ったのに、信じようと思える何かがあった。俺の知らない記憶が俺自身に伝えているように。
「いやいや、みどりさんがそこまでして料理作ってきてくれたからっす!」
「卓斗くん。いつも、みどりさんの料理美味しそうに食べるもんね!私の時には見たことない顔するのっ!」
「そっそうっすか?梓さんのも皆さんのみんな美味しんですけど!」
「そーいや、そうだな。なんか、みどり以外はうまいを連呼するが、みどりのは美味しいとか丁寧語になるし、グルメリポートするし」
「グルメリポート!?やばい、無自覚っす。でも、他の人とはなんか違うって感じはします。なんか、懐かしく感じるっすよね」
そう言うと、みんななんだか、無言で微笑んでいた。怖い。
「懐かしい…か」
くるみが確かにこうつぶやいたと思うが、定かではない。
そう言ってみんなでアイコンタクトしていた。
「なんすか、みなさん」
なんにがなんだかわからない俺はそういうしかなかった。
「卓斗さん、すこし思い出してきてるんだって思って、みんな嬉しいんですよ」
そうだ。俺はまた思い出してきているんだ。この懐かしさにも俺の記憶の秘密があるんだ。
「そう、なんかこの頃懐かしいなって思うことがたくさんあって、きっとこれって思い出してきてるんだよな。まだ鮮明には思い出せないけど」
この際だから、聞きたいことを聞いてみようと今思った。
「前から聞きたいことがあったんですけどいいすか?」
「なんだ?」
「俺は記憶のない黄泉人です。なんで、黄泉人なのに裁きしなかったんすか?なんでここに入れてくれたのですか?」
そう聞くと、みんな黙りだした。あ、一気に聞きすぎてしまったと思った。
「ある人に頼まれたんだ」
そう隊長が口を開いた。
「匿名の依頼だ。誰からかわからない。でも、その人はもう死んでしまっているということだけはわかった。遺体は見つかっていないから、どこで生き返るのかわからないが」
隊長が話した内容はこうだ。俺は多分、その人より早く死んでしまった。その人は自分の死期を悟って、俺の遺体を黄泉がえりの組織の前に置いて、私が蘇るまで預かって欲しいと置き手紙を残した。
そして、その後にその人はどこかで亡くなったものだと、隊長は推測している。
「預かってくれとだけ書いてあって、蘇ったらどうすればいいのか書いてなかったから、今人出が足りないし、よし雇うかってことになったんだよ」
俺の記憶ないことが明らかになって、すごく混乱している。
自分で聞いたのに、俺は黙ってしまって、みんなどうしたらいいのかわからないような顔をしていた。
「そうだったんすか」
そう言うのが精一杯だった。