読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

しゆたろの日常

しゆたろの日常についてきままにつぶやきます。創作もします。

第十一話 危険

―そして夜
「大丈夫かな、シン」卓斗がつぶやく。
「そうですね。私、あんなシンさん初めて見たんです」
初めてということは、今までより手ごわいやつなんだと察した。
耳に付けたイヤモニから隊長の声が聞こえる。
『そこの柱付近だ、誰かいたりするか?』
「いや、特に誰も…」
「なぜでしょうか、死体がなければ蘇りませんよ?」
くるみはあごに手をあて、眉間にしわ寄せ考え込む。
―情報がうそなのでは?
ふと、そんな考えが頭をよぎる。
いや、そんなことはない!あんなに体調が悪いのにうそがつけるか。
しかもみんなが信用している。だれもシンの情報が間違ったのではなど口にしない。
信頼し合っているんだ、この人たちは。
…だから、俺も信じる。

自分の部屋で休んでいたシンは、布団からとび起きた。
「危ない…!」
シンは情報を話すときは長く話せるが、それ以外では長く話せない。
そして声も大声を出せない。
だから早く知らせないといけないと焦った。
自分の部屋は2階、そこから指示隊本部の6階まで階段で駆け上がる。
ドアを勢いよく開け、倒れこんだ。
「シン!?」
「シン!!どうしたっ?」
「二人に…」
「え?」
(早く言わなくてはいけないのに…口が動いてくれない…)
そのもどかしさでシンは焦った。
察した梓はペンと紙を渡す。
シンは、急いで書いた。「二人に早くその場から逃げろ」と。
それを梓が隊長に言う。
「隊長!二人に早くその場から逃げろと伝えてください!」
「わかった!二人とも早くその場から逃げろ!」

それを聞いた二人はなぜだかよくわからなかったが、とにかく逃げようとした
が…

『ぐああああ!!!』
『きゃあああ!!!』

「卓斗くん!くるみ!」
「卓斗くん!くるみちゃん!」

遅かった。…自分のせいだ。もっと早く伝えていれば…。
倒れたままうつむき、悔しさのあまりこぶしをぎゅっと強く握ったシン…
床をたたく力すら喪失した…。