しゆたろの日常

しゆたろの日常についてきままにつぶやきます。創作もします。

第二十話

俺がどこの誰かなんて、この人達は知らない。だからこそ、俺が自分で思い出さなきゃいけないんだ!
なんで、俺は思い出せない。どうしてだ。
いきなり無言になり始めたので、この空気に耐えかねた、みどりは
「きょ、今日のさ!作戦とか考えないのかな??」
「もうかえがえたんです。卓斗さんが」
「そっかー、んじゃ。なんかやることない?」
「みどりさーん!食器洗いとか洗濯とかてつだってくださぁーい」
キッチンのほうから梓が声をあげる。
「はぁーい!まかせてー!」
みどりは梓の方へ駆けて行った。

夜まで長い。暇な卓斗は自室にいた。
ただ、ぼーっとしているだけであった。
トントン。
卓斗の部屋のドアを叩く音が聞こえた。
はぁいと気の抜けた返事をしたら
「たーくとくん!あーけて!」
と声がしたので、ドアを開けるため立ち上がった。
鍵をあけ、ドアノブを回して現れたのは、梓だった。
両手で野菜のサラダをどっぷり乗せた皿のお盆を持っていた。
「うわあっ!」
と驚いて、変な声をあげた卓斗。
おやつのじかんです!」
いや、おやつちゃうやろ!と心の中でツッコミを入れた。
梓は野菜好きとして組織内で有名なのは知ってたが、おやつにサラダを食べるほどとは知らなかった。
梓は卓斗が苦笑いしてドアに立ち止まってるところに突っ込んで、ズカズカと部屋に入る。
「緊張してるかなーって思って、差し入れのおやつと話し相手を持ってきましたー!」
「あ、ありがとうございます!」
机にどさっとサラダの皿を置き、ぱくぱく食べ始める。
「くるみちゃんはね、卓斗くんがきてから明るくなったんだよ」
いきなり、くるみの話を始める。
「あ、朝のさ、卓斗くんの前にくるみちゃんと男が組んでたのを気にしてるのかと思って!」
「まあ、気にしてないといったら嘘になるっすけど」
そういうと、梓は卓斗が来る前の黄泉がえりについて話し出した。

「くるみちゃんに初めて会った時、とても辛そうだった、いやそう本人は感じてなかったのかも」
卓斗と違って、組織に入れるためにくるみは来たのではなかった。身寄りがいない状態で保護されたのだ。
服はしわくちゃでボロボロで身体はやせ細っていた。その少女に梓は話しかける。
「大丈夫っ!?立てる??私についてきて!!」
少女は拒みもせず、そのまま梓についていく。感情を失っているのか、口がきけないように見えた。組織の中につくと梓はまず食べ物を食べさせた。
冷蔵庫にあるもので即席で作ったので、食品は少ないが、早く食べれるものを与えなければと思ったのだろう。パンにチーズやケチャップを乗せて、ピザ風にしたものを食べさせた。少女は最初は見つめていて食べなかった。梓が、口に運んであげると、ぱくっと口を動かして食べたのである。そうしたら、少女の瞳から一粒の涙が流れ落ちた。か細くて、一瞬、空耳かと思うぐらい小さな声で 「ありがとう」といったのである。そして、自分から進んで食べて、完食した。それを見た、梓は嬉しくてぎゅっと少女を抱きしめた。
「よかった…全部食べてくれた」
えらいえらい、というように少女の頭を撫でた。少女は安心したのか、そのまま眠ってしまった。
梓の部屋に少女を運び、布団に寝かせた。それから、隊長にこのことを報告した。
「体調が回復するまで、うちで面倒を見よう」
そう、隊長に言われて、梓は面倒を見るようになった。